ありけん日記


有田健太郎の日記、エッセイ、フォトギャラリーです
by KeN-ArItA

2013年9月『奥信州 幻のキノコ旅』【1】

 ボックス席の通路側にようやく座れた。
朝の列車は田舎でもだいたい混んでいる。
千切ったようなまばら雲の陰影は白く濃く、雨あがり、光と影の台地は瑞々しく輝いていた。

 隣に座る男性が落ち着かない様子。
それはそうさ、通路側から隣の人の顔越しに、じーーーっと窓外を見ているのだから。
だけどね、それはもうしかたないんだ。
列車好きの旅人が車窓にかける情熱は、アルプス級だからね(迷惑である)。


 ようやく窓際に座れたありけんは、時刻表と切符を置いた。
動き出す列車の窓には、僕さ。



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【飯田線、グリーントンネル】




 毎年夏の終わりに旅に出る。
一昨年は『本州の果て大間崎、本マグロを釣り上げろ!の旅』で北東北へ。
去年は『南九州、ツチノコの旅』で南九州へ。
 それらの旅には、自ら決めた『指令の遂行』が課せられている。
この指令があるがため時に辛い思いもしてしまうのだけど、旅情も深まり思い出にも残るのだ。



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【窓辺にハイソフト】
窓辺には、切符と時刻表とハイソフト。
やはりそこらへん、こだわってしまう。
窓辺アイテムが揃い、旅らしくなってきた。




□2013年、夏旅の指令

 1:幻のキノコ、ヤマブシタケを採取せよ。
幻と言われる天然のヤマブシタケ。
採取してバター焼き、炭火焼で食べようじゃないか。

 2長野県飯山のキノコ博士、久保田社長に会いにゆけ。
『2007年きのこの旅』をきっかけに友達になった長野県飯山の久保田社長。
今回、ついに会うことができるのか?

 3日本で一番海から遠い場所(佐久平の山中)へゆき、そこから海を目指せ。
日本で一番海から遠い場所ってどこだと思う?
やっぱり北海道でしょ、、って思うよね。
だけど、実は長野県佐久平の山奥なのだ。
標識があるようなので、 記念撮影してこようじゃないか。

 4キングオブローカル線、飯田線を制覇せよ。
長野から名古屋に抜けるローカル線の代表格、飯田線を全線乗車してこい。

 5学生時代からの音楽仲間、奥村、前島君と落ち合え。
通過予定の静岡県には昔なじみの仲間が暮らしている。
もううんと長いつきあい、久しぶりの仲間と落ち合おうじゃないか。

 6旅中一曲(旅の間に一曲作りなさい)
毎年恒例、旅先での1曲。
去年は『弾けた勇気の旅物語』ができた。
今年はどんな曲ができるのかな。

以上6つの指令、、。
おいおい大丈夫か?!



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【旅では『モ』車両は避けたい】
『モ』はモータエンジンがある車両で、うるさいのだ。
ローカル線は旧車輛が多いので、時に音楽も聞こえないくらい。
まあそれはそれで味なのだけど、数時間となると疲れてくる。
ちなみに『ク』は運転席がある車輛、『キ』はディーゼルエンジンが付いている車輛、『ハ』は客車、『ロ』はグリーン車。




 2013年9/4(水)7:35。
ベランダ植物にたくさんの水と補助水ボトルを差し込んだありけんは(去年枯らした)、大きな鞄とギターを持って部屋の鍵を閉めた。
すぐさまラッシュに参ってしまい、立川から甲府まで特急で圏内脱出。
甲府からようやくローカル線の旅らしくなってきた。



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【中央線(小淵沢〜):ドアは手動】
がらがらと自分で引いて開け閉めしなければならない。
ボタン式自動だとうるさいけれど、これは慎ましく静かでよい。




 松本から長野までは篠ノ井線。
森林の中を突き進む列車は、グリーンに包まれる。
癒されるのだ。



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【篠ノ井線】
みんな窓の向こうに連なる北アルプスを見てしまう。
みごとだなあ。



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【篠ノ井線、姨捨(うばすて)駅】
ここからの長野の景色は、気持ちがうんと大きくなる。
JR、車窓三景の一つだそうだ。




 旅一日目の指令は『久保田社長に会いにゆけ』。
そもそも久保田社長って?とお思いの方も多いだろう。

 7年程前、近所の八百屋でよく買う『とってもおいしめじ』というしめじがあった。
ある日、パッケージの裏側を見てみると『工場見学大歓迎』と記されていた。
その時期、詰まっていたありけんは、旅はきっかけと工場見学しに旅に出たのだ(アポ無し)。
(詳しくは『ありけんエッセイコーナー』『2007年きのこの旅』にて)

 実際に工場見学を終えて『きのこの旅』はそれで終わったと思っていた。
しかしその後、そのとき不在で会うことのできなかったきのこ工場の社長さん(久保田さん)が、ありけんのレポートブログを見つけてくれ、連絡を取ってくれたのだ。
 さらにその後、たくさんのきのこ詰め合わせセットを送ってくれた。
以降、CDを送ったり、手紙を書いたり、最近ではフェイスブックで、連絡を取り合うようになった。



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【2007年3月長野県飯山市、いいやまパッケージ工場にて】
記念のきのこタオルをゆずり受ける写真。
工場の方々は、突然の変な訪問者にかなり引いていた(当然)。
しかし久保田社長だけは、後に聞いたこの変な訪問者の話を面白く思ったらしい。




 今では何気なく連絡を取る仲だけど、実際、久保田社長とは会ったことはない。
今年1月、『いいやま』から移籍して独立した久保田さんから新作きのこがどっかり送られてきた。
これはもう、、会いにゆくしかない!と今回の旅の方向性が決まったのだ。



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【2013年1月、久保田さんが手がけるきのこや自家製ジャム】
ぷりぷりきのこは言うまでもなく、ジャムも濃厚でナチュラル。
食タイムは、とても幸せな時間になるのだ。




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【飯山線、鉄粉で褪せた窓】
少し暖色、セピアな景色になる。
これもまた、たまらなく好き。




 飯山線のディーゼルエンジン音が心地よい。
実り始めた果実畑が広がる大地を風になる。



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【飯田線はゆく】
飯田線の列車の最後部。
自分が進んでいるのではなく、景色が流れてゆく感じ。




 着いたよ!飯山駅。
14:50、ついに、久保田社長と会う。



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【はじめまして!久保田さん】
お忙しい中、ありがとうございます!



話も尽きぬまま、初の、きのこ栽培農場へ。



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【だだーーん!!】
こ、これは、、落ち着きをなくしてしまう。
なんと立派なしめじだ。
きのこ好きにはたまらない。




 次号は、久保田社長と巡る自然に満ちた木島平の見所〜ついに入山?!『海から一番遠い地点』。
お楽しみに☆
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by KeN-ArItA | 2013-09-15 10:58
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