7月に入り、いよいよ暑くなってきた。
雲も『梅雨雲』なのか『積乱雲』なのか、分かりゃしない。
雨も『梅雨の雨』なのか『ただの雨』なのか『夕立』なのか、分かりゃしない。
そんな暑い日の遅い夕方、駅からの帰り道はエンゼルストリート。
人々でにぎわう通りは、七夕とあって今年も笹が飾られている。
短冊は、幼稚園や小学生が授業で書かされたものだろうが、折り紙の飾り物とともに風に揺れているのを見ると、なんだかお祭り気分になってしまい、やっぱりいいよね。
買い物袋を下げ、行き交う人たちの顔も、夏を迎えたように涼しげに見える。
今年の七夕は梅雨のしっぽに覆われて、天の川は見えないでしょう。残念だ。
多くの気象予報士達はそう言っていた。
そんな中、早朝のある地方番組の女性キャスターは、笑顔でこう言った。
「今年の七夕は、あいにくの曇り空で天の川は見えそうにありません。
だけど織り姫と彦星は、人目を気にせずに再会出来そうですね」
もー、素敵よね。
彦星のやつ、一年間浮気しなかったかな?
なんて考えたりする自分が恥ずかしい。
何でも売ってる八百屋の軒先からは、鈴虫の声
クルクルたなびく短冊を越えて、空を自由気ままに横切る電線の上では、ツバメの『飛び方教室』
さらに高く飛んでいる鳥達を越えると、『低い灰色雲』
さあもっと行くよ
それらをさらに越えると、もうかなり準備が整って出番を待っている『真っ白な夏雲』
まだまだ!
そのさらに、さらにずっと越えた宇宙の大河、『天の川』
おいっすぅ!
1年ぶりに再会した織り姫と彦星を邪魔するのは、『ありけん』
うそうそ(笑)
そんなことはしません。
おいっすぅ!って言って通り過ぎるだけ。
そのくらいいいでしょ。
やがて釣りにも飽きて、天の川の畔に足を浸けて覗き込み。
やっと見つけた母星は、きっとキラキラきれい。
世界がずっと、青く、緑でありますように
【バラとローソク】
たまには、バラとローソクさ。