ありけん日記


有田健太郎の日記、エッセイ、フォトギャラリーです
by KeN-ArItA

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鮮魚コーナーへ行こう

別に魚を買うわけではないのだけど、鮮魚コーナーを見るのは好きだ。

近所のスーパーは値段はちょっと高めだけど、その分鮮度もよく、魚の目もきれい。
季節によっていろんな魚が姿のまま並べてあり(もちろん切り身とかもあるよ)、それを見ていると飽きないんだ。

トビウオや鯛、クロソイやアブラメ、アジにイナダ、舌平目にコチにボウボウ、、。
かなりマニアックな魚まで並んでいる。

なかでも見入ってしまうのが、気まぐれに出現する活魚コーナー。
ホタテやヒラメ、ドジョウにオコゼ、瀕死の毛ガニにホヤ等。
みんなぎりぎり生きているんだ。

水槽と呼べるものではなく、魚が氷などとともに運ばれてくるような大きな白い発泡スチロール容器に、海水とボコボコ(酸素)とともに入れられていて、つい足が止まってしまう。

キョロキョロあたりを見回し、ちょんちょんと突いてみたり。
ホタテの殻の間に指を入れて「いでで」。わざと挟まれたりしてしまう(でも買わない)。

最近わりと出現率の高い活魚コーナー。
今日は「沢ガニ」が売られていた。

たこ焼きなどで使われる大きめのプラスチックパックの中に、ガサゴソと10匹くらいの沢ガニが元気なく動いている。
甲羅は深い茶色なのだけど、足から甲羅の周りにかけて琥珀色をしていて、5センチくらいかな。可愛いんだ。
子供の頃は沢に入って石をめくってはよく捕まえてたので、愛着もある。

しかし、買う人いるのかな?

札には『唐揚げ、味噌汁、お子様のペットにも最適です!(雑食です)』と勢いよく書かれてある。

おいおいペットも兼ねてるのかよ。射程範囲広すぎじゃないか?
鮮魚コーナーも必死だなと思った。



19歳の頃、学生だった僕は盛岡市のスーパーでレジ打ちのアルバイトをしていた。
閉店間際になると、鮮魚コーナーと精肉コーナの商品をバックヤードの冷蔵庫まで持って行くのもレジの仕事となっていた。

ある時、鮮魚コーナーで今日と同じように沢ガニがパックに入れられて売られていた。

はじめは普通に片付けをしていたのだが、足が折れたり、片方のはさみがなくなってしまっている沢ガニを見ているうちに、可哀想になって1パック買ってしまったんだ。
仲間のレジ打ちの女の子は笑っていた。

家にあった衣類ケース(大きな蓋付きのプラスチックケース)に、よく洗った砂や石を入れて水と陸を作って放った。
カニはブクブク嬉しそうに、それぞれ好きな場所に隠れた。


沢ガニは常に水がきれいでなければならないから、飼うのが難しい。
餌なんて少しでもやりすぎるとすぐ水が悪くなってしまうし。
子供の頃はよく死なせてしまった。

結局、半年経って数が半分になってしまった頃、もうだめだと思い近所の沢に放しに行った。


その後、僕の部屋の冷蔵庫の上の巨大水槽が空いたのを知った仲間や後輩がよくやってきた。

「先輩、金魚好きって言ってましたよね?
おれ、祭りで金魚すくいやったんすけど、水槽なくて、、」

ある晩は、ドアを開けると、
「けんちゃんさぁ、カニ飼ったことあるって言ってたよね?」

申し訳なさそうにしている彼女の手さげ袋からは、やっぱりパックに入った沢ガニが出てきた。
スーパーでずっと見てたら可哀想になったらしい。

「ほら…私ん家、カニ飼うシステムないじゃん」

「そんなの家にもないっつーの!」

類は類を呼ぶ。一風変わった彼女は以前も金魚を持ってきた。
しかし、この日はさすがに沢に放しに行った。

こんな感じだったので、結局水槽は岩手を離れるまで生き物達で生き生きとしていた。


e0071652_17172172.jpg
【タケノコと月】
このタケノコ、見てても伸びているのが分かるんじゃないか?と思う程、
あっという間に伸びてしまいました。
まさに『雨後の筍』。



残り5パックなのか、最初なら5パックなのか。
ぜんぜん売れてない沢ガニコーナーにいるとなんだか可哀想になってくるので、鮮魚コーナーを後にした。

たいてい鮮魚コーナーを抜けると、何を買いにきてたのかを忘れている。
しばらくプラプラと店内を迷走しながら、あの沢ガニを買ったお母さんを想像してみる。


「ゆう君、ほらカニだよ〜」

ムシキング好きの小学1年生のゆう君は、初めて見る生き物に興味深々で大喜び。
故クワガタムシの水槽に入られた3匹のカニに、ご飯粒をあげて水槽を離しません。

石を入れてあげたり、触ったり。ゆう君にはお気に入りの新しい友達ができたのです。

「ゆう君ご飯よ〜、水槽は逃げないから、早くいらっしゃーい」

まだカニと遊んでいたいゆう君は、しぶしぶテーブルへ。
しかし!そこで皿の上のおかずの一品に目が止まるです。

それはお父さんが大好きな、沢ガニの唐揚げ

泣き出したゆう君にお母さんが言います。

「食べ物はね、みんな最初は生きてるの。だからね、なんでも残さずにたべなきゃだめなの」

「やだぁ〜」

「やだじゃないの、全部食べなさい!」


恐るべきお母さんの『生きる教育』。

なーんてね。


明日のスーパーのお惣菜コーナーには、きっと沢ガニのフライが並んでんだろうなぁ。

食べる前にはちゃんと『いただきます』言わなきゃ。
今一度自分に言い聞かせました。


買い物カゴには砂肝と新タマネギ。
そしてレジに向かっている僕なのです。


e0071652_17261112.jpg
【黒目川の亀、ひなたぼっこ】
5月は鯉の産卵期。
川の中がバチャバチャと騒々しいので、ここで休んでます。
この川は洪水が多い、氾濫時にはどこにいるのかなぁ。
今から雨の季節。
今年も流されないでね!
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by KeN-ArItA | 2008-05-17 00:08


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