ズズズズ…バリバリバリバリ…
何の音?
眠気と疲れの壁が倒れて来た音。
これが大きすぎると、ボッカーン!
ぺちゃんこである。
しかし、どうしてもやらなければならないことがあるので受け止めて。
フンガー!!
また起こすのである。
こうなってしまったら最後の手段、BAR『ローズ』へ行く。
ローズは道を挟んで向かいにあり、昼間は喫茶店、夜はバーという小さなサロン。
薄暗い間接照明と木作りの店内は落ち着くし、集中できるのである。
お客が少ないのを外から確認して、カランコロン。
すぐさま円い4人テーブルは作業場になる。
さすがに夜はバータイム、コーヒーを頼むわけにはいかない。
注文したノンアルコールビールの『レーベンブロイ』が運ばれて来て、ようやく作業は波に乗り始めた。
自分はお酒を断っている。
もともとお酒は好きなのだが、目標を達成するまで飲まなと決めたのだ。
これは、回りの空気を若干冷ましたり気を使わせたりするが、そんなに難しくはない。
友人、兄弟などの結婚式、先輩との飲み会、イベントの打ち上げ、、
今までどんな時でも一滴すら飲まずにやってきた。
しかし、なかなか目標は達成できず、禁酒からもう4年と2ヶ月が経とうとしている。
たまに場所を変えるというのはよいものである。
むむ、、見えた!
作業も進むってもの。
しかし作業が終わりに近づいた頃、再びさらに巨大化した壁が倒れてきた。
なんてこった、妖怪『ぬりかべ』もびっくりである。
ふぬぬぬぬ…
がんばって持ち上げる。
しかし、様子が少し違う。
『疲れ、眠気』というよりは、『懐かしい感覚』を体は感じている。
ほよ〜
ふぬぬぬぬ…
ほよよ〜
ふぬぬぬぬぬぬぬっーー!
ほよよ〜ん
潰されそうだー!!
はっとしてメニューを見た。
ノンアルコールビールのところに、ちゃんと『レーベンブロイ』と書いてあるのだが、普通のビールのメニューにも『レーベンブロイ』と書いてあるのだ。
なんてこった、罠だ。
エメラルドの森の中で、トラバサミにかかってしまって暴れる哀れな鹿が頭に浮かんだ。
くそー、バーテンダーのやつめ〜、文句言ってやる。
そう怒ってみても常識から考えて、アルコールの方を持ってくる方がむしろ普通だ。
いつものバーテンダーならノンアルコールを持って来ただろうに。
くそー、うかつだった。
確かに自分のミスだ。
戦場だったら死んでたぞ(戦場ではない)。
しかし、4年と2ヶ月も続けてきたものが不本意に破られたのはショックなものである。
しかし反面、酔っぱらってきたせいもあり、なんというか、楽しくなってきた。
くそーー
ぽよよ〜ん
くそーーー
ぽよよ〜ん
タンブラーに半分程残され、金色に輝くビール。
さて、皆さんだったらどうします?
もういいや、飲んじゃえ!
こともあろうにありけんは、ひと飲みにしてしまったのである。
ぼっかーん(壁に押しつぶされた音)
うまかったー☆
しかし、神様は怒った。
すぐさま心臓が飛び出しそうなくらいにバクバクとなり、気分が悪くなったありけんはトイレで吐いてしまったのである。
たがが1杯のビールで。
なんてこった。
かつては酒豪と言われたおれが、、(情報提供:ありけん)
【夜の入り口】
振り出しに戻された禁酒。
日々はまた流れてゆく。
音楽活動を続けてゆくことに比べれば、お酒やタバコをやめることはなんてことはない。
しかし、目標を達成してもお酒は『もういいや』と思った。
だけどあの時、ほんの一時、懐かしく、楽しかったな。
ぽよ〜ん
ぽよよ〜ん
がんばれありけん。
いつの日か、乾杯!
【午後の居場所】
最近近所でよく見かける猫。
今日の居場所は赤の上。
姿勢がいい。