しばらく砂山で立ちつくした後、海岸を東へと歩いた。
ずっと向こうに見える、杭が立ち並ぶ場所が気になったんだ。
【砂丘最前列の松の植林は、嵐で埋もれてしまったようだ。
ここ玄海灘の砂丘は、いつも形を変える。】
途中、砂山の窪みで休憩。
お茶を買ってきといてよかったよ。
【「私は指輪」
久しぶりに会った友人から貰ったんだ。
彼は、アクセサリーの製作職人を兼ねて働いている。
現在、自分のブランドを立ち上げるため日々奮闘中だ。
頑張れ!】
日本海に面するこの砂浜には、たくさんの漂流物が流れ着いている。
いったいどこから、どのくらい漂流したんだろう。
フジツボの付いたビン。
ハングル文字や英字で記されたポリ容器。
貝や海草が生えた流木。
もし彼らと会話ができるのなら、旅の話を聞かせてもらいたいなぁ。
ビンの中に手紙とか入っとらんかねー(古)。
探したがそんなビンはなかった。
代わりに小さなアンモナイトの殻を見つけた(生きているやつは、殻の中にイカが入っている。 うそです)。
この海にはアンモナイトや、カブトガニがたくさんいるんだ。
空は、曇りと晴れの間くらいかね。
時折光線のような光が落ちてきたり、深く曇ったりした。
フラフラフラフラ
あっち寄りこっち寄り
立ち並ぶ杭の所に着いたのは、16時近かった。
【当然海に入ります】
引き潮の波は、引っ張られていくようで好きだ。
じゃこじゃこと掘った穴が、少しずつ平らになってゆく。
僕は海に行くと必ず浜を掘ってしまう。
貝とか出てきたら嬉しくない?
ザザー
ザザー
ここは遠浅やけん、もう少し沖へ行けるよ
海の中より西を見る
落ちてくる光線を追えども
そのまた先に光りあり
足跡は?と振り返れば
銀色の波
行く先は?とまた先を見れば
金色の波
ていっ!
蹴りあげた水しぶきは
晩夏の空に舞う
数分後、僕のジーンズはびちょびちょになるのである。
【おわり】