旧ありけん日記 |
風が吹き込んでくるのではない、窓全開で走っているからたくさんの風が取り入れられてるのだ。
おかげで髪はぐちゃぐちゃである。 北海道の緑大地の風を集めながら、町から町へと列車は走ってゆく。 時刻表と切符に缶コーヒー。ギターと鞄もね。 そして窓際にはやっぱり、僕さ。 毎年1回、夏の終わりに旅に出る。 旅と列車が好きな自分は、JRの青春18切符を使って各駅停車の旅に出るのだ。 旅には『指令』を設けることにしている。 時に自ら決めた指令に泣かされることもあるのだが、旅の思い出がぐっと深まるのだ。 今年は、機会を逃し続けてきた北海道へ行こうと決めた。 ずっと行きたかったのだ。 指令は以下の通り。 『アザラシVSキタキツネ』:自然に生息するアザラシとキタキツネを撮影せよ。 『写真10(しゃしんてん)』:知らない人の写真を許可を得て、最低10枚は撮ってくる。 『旅中一曲』:5日間の旅の中で1曲作成する。 『藤浦君、かんちゃん』:学生時代の友である藤浦君とかんちゃんと再会する。 ルールルルルル… ルールルルルル… おや、ありけんがキタキツネを呼んでいる声が聞こえてきたね。 そろそろスタートさせなければ。 ■2010年、晩夏『北の果てオホーツク、アザラシVSキタキツネの旅』 8/30(月)AM10:00 女満別(めまんべつ)空港に到着したありけんは、レンタカーで北上を始めた(列車じゃないんかい!)。 テレビで見たことのあるような風景の中を走り始めると、すぐにテンションが上がってきた。 ハロー!北海道。 もう、農道に逸れてより道ばっかりである。 いかんいかん、写真に夢中になっている場合ではない。 今日の日没までにアザラシとキタキツネを見つけねばならないのだ。 5日間ある旅の初日でメインイベントが終わってしまうというこの計画性。 さあ、野取岬(のとろみさき:網走)へ急げ! 特にこの場所にこだわりはなかった。 地図に『アザラシ、キタキツネの生息地』と記されてあるのを見つけて、この旅が決まったのだ。 どこに行っても楽しく過ごせる自信があったし、旅はきっかけ、そんなものである。 アザラシは海、キタキツネは山、さてどちらから探し始めようか。 そんなのは簡単である、同時に探すのだ! 海に向かいながら、キタキツネを見つけるという超合理的なこの計画。 さすがである。 何度も車で見て回ったのだが、海への道などなかった。 海までは森が続き、距離がありそうである。 しかし、こんなことで引き下がるわけにはいかない。 水とパンとカメラを持って獣道から入ることにした。 森の中は歩きやすかった。 以前誰かが通ったのだろう、帰り道用の赤い目印があった。 これがないと危険である。 パンを千切りながら置いていっても帰りには無くなっているからね。 これを辿ってゆけば海に出るかも。 行き着いた先にガイコツなどなければいいが、、。 所によりすごい数のブヨ(蚊)がすごい勢いで襲いかかってくる。 まるで映画『エイリアン2』のよう。 それに対してありけんの武器は、汗で湿ったタオル。 あちょー! ブルースリーもびっくりである。 森に入ってますます強まってゆく予感があった。 こりゃ…、そーとー見つからんわ。 たくさんの蝶がヒロヒロ舞っていた。 蝶って森の中にこんなにたくさんいるんだね。 ありけんはキタキツネを探す。 歩いた距離はかなりのものである。 海はあるのだけど崖になっていて降りれない。 だんだん燃えてきた汗だくのありけん。 絶対見つけてやる! どうやらここは道らしい。 よかった、合ってる。 しかし『旧キャンプ場』って…。新しいキャンプ場を教えろよ。 滝の方へ行こう。 歴史は長いとはいえ、憧れの北海道へ着いてわずか2時間足らずでこんなに汗まみれになってアザラシとキタキツネを探した男がかつていただろうか? いや、いない。 急斜面を降りてゆく。 ついに海へ出た。 道のりが険しかっただけに嬉しさも大きい。 なんだか海に出たことでもう目的を達成した気分。 浜に出て振り返ってみるとやはり断崖絶壁。 こんなとこに人なんて絶対いない。 きれいな石がたくさん落ちていた。 1個数万円しないかな…なんて思ってしまう(しない)。 岬に向かって歩き始める。 こ、この足跡は…、ちょっと大きすぎないか。爪も鋭いぞ。 オオカミ?もしくはピューマ(北米生息)、もしくは…犬。 ありけんは、猛獣に出会った時に差し出して逃げるため用のサンドイッチを握りしめた。 さあ、まってろアザラシ! さあ、このあと涙の発見となるか?! その2へ続く。
by KeN-ArItA
| 2010-09-11 20:48
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