子供の頃から列車が好きだった。
小学4年に進級すると、窓から線路が見えるあこがれの教室だった。
嬉しかった、世界が明るくなった心持ちだった。
やがて、1時間に1本くらい通る列車や貨物列車の時刻表を机の上に書きはじめた。
授業中でも休み時間でも列車の通る音が聞こえたらすぐに書き込んだ。
完成したら完成したで、今度は「あと何分で列車が来る、、」と落ち着かない。
小学4年の頃の成績が悪かったのも分かる気がする。
列車が駅に止まる時刻表ではない、窓から見える橋の上を通過する時刻表なのだ。
それは、世界に一つしかない時刻表で、需要も意味もまったくない時刻表だったけれど、少年ありけんにとっては自分で作り上げたとても大切なものだった。
始めて自分が『けんか』したのも、イタズラでそれを消した生徒とだった。
進学して列車通学となり、やがて列車で故郷を発ち、列車で通勤し、今でも年に1度はローカル列車の旅に出る。
今年の晩夏の旅もいろいろと考案中だ。
入線してくる姿が、動き出す瞬間が、流れ行く景色が、シートに足を伸ばすのが、出会いがあることが、窓辺に置くコーヒーが、乗ったらガラガラだった時が、開けた窓から受ける風が、切符が、ガラスに映るぶれた自分が、眠くなってうつらうつらするのが、到着する減速過程が、、、好き!
2011年3/12(土)九州新幹線が全線開通した。
子供の頃からそんな夢のような話があったが、実現することはないと思っていた。
開通当日、JR九州はたくさんのイベントや祝賀会を予定していた。
地元の多くの人達も楽しみにしていたという。
しかし、その日は大地震の次の日。
皆が被災地を想い、イベントは全て自粛中止となったのだ。
自分はこういった慎ましやかな心遣いを、日本特有のやさしさだと思っている。
東京で帰宅できない夜を過ごした自分からも、『ありがとう』と言いたい。
3/12からオンエアされるはずでお蔵入りとなってしまったCMが、今ネットで話題となっている。
たくさんの人達が喜んだ、手を振った。駆けてゆく子供達が印象的だ。
見ていて、涙が出てくる。そんな素敵なCMがオンエアされなかったのだ。
青森を走る『はやて』から鹿児島を走る『さくら』まで。
それだけじゃない、秋田を行く『こまち』、群馬を行く『たにがわ』、名古屋を行く『のぞみ』、宮城を行く『やまびこ』、福島を行く『つばさ』、広島をゆく『こだま』、新潟を行く『とき』、長野を行く『あさま』、栃木を行く『なすの』、大阪を行く『ひかり』、岩手を行く『はやぶさ』、、。
新幹線だけじゃない!
在来線や船舶や道路、飛行機だってある。
日本は全部つながってるんだよ!
【オンエアされることのなかったCM】
素敵な人達。
生まれ育った土地を自慢に思うよ。
今、声を大にして言いたい。
九州おめでとう!!そして、やさしさと元気をありがとう!
『さくら』、、乗らなきゃ!!