裏山の池からは用水路が引かれていた。
オレンジ色に塗られ、ところどころサビのある小さな水門は流れをせき止め、田畑へと水を導いた。
せき止められた深みには普段は現れない魚がいて、興味深く顔を揃えて覗き込む少年達の手の上を、大きな黒アリがせわしなく横切っていった。
水門には誰でも回すことのできる60センチほどのハンドルがあって、暇を持て余した少年達がそれを放っておくわけがなかった。
ハンドルを握った少年達は船長気分。
面舵いっぱーい!など叫びながらハンドルを一気に回し水門を上げた。
溜められていた水はダムの放水のように勢いよく堰き切った。
その大波を追って少年達は声を上げて駆け出した。
再び水門を下ろした後の水無川には、小魚やドジョウやカニやエビなどが浅い水の中でピチピチと跳ねていた。
楽しい時間が長くは続かないことなど、子ども達が知る由もない。
裏山のじじいが鍬(くわ)を構えて雄叫びとともに鬼のような顔をして走って来た。
少年達は声を出して逃げ出した。
やがて水門にはチェーンが掛けられるようになり、少年達は次の遊びに夢中になった。
時は今、チロチロとした小川を飽きずに見ている。
ずっと見ている。
葉月の木々は生い茂り、ところどころにしか落ちていない木漏れ日も涼しげに揺れている。
深呼吸すると、こんな時でも笑顔になれた。
ベンチについている僕の手の上を、黒アリがせわしなく横切っていった。
【ノウゼンカズラ】
夏の花よね。
ずっと名前が分からなかったのだけど、先日公園に名前が掲げてあった。
ジュースに添えたい色合いよね(笑)
夏の空にもよく映える。
この花にはいつも蟻がたくさんいる。
きっと甘甘なんだよ。
【カポック】
以前、100円ショップで買ってきたカポック。
だんだん大きくなって来た。
霧吹きで吹くと「わーい!」と声が聞こえてきそう。
きっと南国の木だな。
30メートルとかになったらどうしよう。
川端から苔をとってきて敷いたら、日本風になってしまった。