旧ありけん日記 |
旅中の洗濯は不可欠である。
ビジネスホテルのランドリーは、そんな溜まった洗濯ものをやっつけるオアシスなのだ。 旅4日目(9/3)盛岡市内のホテル、朝9時。 そこにはドライヤー片手に焦って洗濯物を乾かすありけんがいた。 部屋は湿気で飽和状態である。 ![]() 2時間ほど寝たありけんは、ランドリーに乾燥機があるのを確認して洗濯物を放りこんだ。 洗濯は、たまに楽しい。 機械が勝手にやってくれるのだもの。 しかし、乾燥機が完全に乾燥させるものではないということを忘れていた。 2回も乾燥機にかけたのに洗濯物は生乾きだった。 出発時間も迫る中、ずっとドライヤーをうならせているありけん。 うー、間に合わない〜 そう言えば学生寮にいた頃(19歳)、洗濯後に履いていく靴下がなくなり、半乾きの靴下をオーブントースターに入れてぼやを出したことがあったな(バカである)。 おおよそ乾いてきたので、後は電車の中で干すことにして(それもどうか)バタバタホテルを出た。 さい先が危ぶまれるスタートである。 今日は指令2、釜石のいとーちゃんに会いに行くのだ! ![]() 通りで募金の学生達に見つめられて、募金するありけん。 「中学生?」(ありけん) 「いえ、高校生です」 「、、ごめんね。がんばってね!」(ありけん) 『学生達が募金している姿を見かけたら、そこら中にいると思え』 そう言ったことわざがある(ない)。 案の定、交差点でも別の募金学生達が電線にとまる子スズメのように並んで声かけしていた。 なるほど、信号の前とは考えたな学生諸君。 「募金おねがいしまーす」 「募金おねがいしまーす」 信号待ちは運悪くありけんしか居らず、学生の視線と声かけは完全にこちらに向けられている。 「いや、おれさっきあっちでたくさん募金して来たからさ」 なんて言ってしまいそうになる(最低である。しかもたくさんではない)。 途中、学生の頃お世話になったスタジオ(ジャイブ)に寄った。 しかし、予想通り朝早くてシャッターは下りていた。 CDと手紙をシャッターの隙間に置いて、再び盛岡駅へと向かった。 ![]() 卒業して半年ほどここの焼き肉屋さんでアルバイトをした。 盛岡でも有名な『焼き肉、冷麺』屋なのだ。 まかないが楽しみだったなぁ。 焼き肉屋で稼いで、1階のパチンコ屋で負ける。 すこいシステムだった(バカ)。 ![]() 朝からさい先が悪いと思ってたらやはり、、。 台風の影響で遠野までしか列車は行けないというのだ。 なんてこった、、。 しかし、困っていたところにいとーちゃんから連絡があって、遠野まで迎えに来てくれるということになった。 ううー、ありがとう。 盛岡駅発11:22『快速はまゆり3号』 さあ、向かおう!! ![]() 各駅停車でもこういうシートっていいよね。 向かい合わせにして足を伸ばしたありけんを乗せて、快速はまゆりは沿岸に向かう。 遠野は水の国。 なぜか緑も丘も田畑も瑞々しく見える。 学生の頃、釣りに行くためによくここをドライブした。 岩手の中でも好きな土地なのだ。 ![]() 岩手の学生時代に寮で知り合ったいとーちゃん。 自分と違って昔からすごくしっかりしていた。 1年で学生寮を出てアパート暮らしをするのだけど、自分はアパートを探すのが面倒だった。 そんなある日「決まったよ!」と、いとーちゃんは入念に下調べをしてよい条件のアパートを見つけてきた。 自分はすぐに同じ不動産屋に駆けつけ、「今契約した伊藤君と同じアパートに空き部屋はないですか?」と、見ずにしてアパートを決めてしまったのだ。 いつ行ってもコーヒーが出てくるいとーちゃんの部屋は居心地がよく、他の仲間も自然と集まってきていた(ありけんの部屋はテレビもなく、散らかっていたのであまり人が来なかった)。 食べるものがない時は、ご飯をごちそになり。 電気が止められた時は、電気ドラム(業務用延長コード)で電気を供給してもらい。 ご両親が来た時は、本場のきりたんぽを一緒にごちそうになったり(秋田出身) とにかく思い出たくさんの隣人であり、友人であったのだ。 台風迫る中、わざわざ家族全員で釜石から迎えに来てくれた。 ありがとう!! ![]() 雨の向こうに晴れ間があったり、変な天気。 遠野で食事をした後、釜石の河口へ寄ってもらった(今は無き釜石署前)。 堤防の向こう側が甲子川河口、その向こうが釜石港。 よじ上り、今は穏やかに佇む海に向かって手を合わせた。 ![]() 通りや、主だったところはだいぶ整理されて草なども生えてきているが、まだまだたくさんの車や家がそのままである。 押し流された車や家屋には、持ち主が廃棄を希望するマーク、中で人が亡くなっていたマーク、、などがスプレーマーキングされていた。 震災当時の話を聞きながら車は釜石の町を南へと進んだ。 当時、大槌町にいたいとーちゃんは津波の後家族と離ればなれになった。 数日後、寸断された線路(南リアス線)の上を歩いて家までたどり着いたという。 線路の上を歩いた話を仲間にしたら皆スタンドバイミーを連想したらしいが、おかみさんの郁子さんは「はだかの大将みたい」と言ったらしい(さすがである)。 自分は、被災地と非被災地という見方でしかいれなかった。 しかし、被災地の中でも感動的だったり、ひどい話だったり、語り尽くせないほどのドラマがあったそうだ。 ![]() 「ありくん、鹿だよ」 普通に野生の鹿が公園にいた。 ええ!これ、野生なの?! もりもり草を食べている。 さすが岩手、、。 こいつらは、カモシカではなくバンビの鹿。 北米では、グリズリーやピューマに食べられてしまうやつだ。 目がとてもかわいい。 だけどおまえら、、人が来たら逃げろよ。 いとーちゃん宅では、演奏会、お食事会、談話会と幸せな時間を過ごした。 小さな子ども二人とじゃれあって終始賑やかで、あったかかった。 きよらちゃん(3歳)にいたってはお風呂に入れてやることに。 子どもは好きなありけんではあったが、独身、そんなのはさすがに初めてである。 いがいと水を怖がらないんだね。 ちょっとした子育て体験だった。 ![]() 全てではないが、岩手ではこういった旧式大形のバスが運行されている。 そうとう古いよね。 だけど、自分はこのバスが好きなのだ。 旅5日目(9/4)、朝。 夜も早く寝させてもらったありけん体力イージゲーターは、すっかり回復した。 いよいよ台風が近づいてくる中、お世話になったいとうちゃん家族に別れを告げて釜石駅まで送ってもらった。 ![]() 台風の影響で今日も列車は動いていなかった。 いとーちゃんとしっかりと握手を交わして乗り込んだ代行バスは、時折シャワーのように注ぐ雨の中、ゆっくりと進み始めた。 また会いに来るよいとうちゃん! また釣りにくるよ釜石! がんばって!! ![]() いとうちゃん、郁子さん、きよらちゃん、なのはちゃん。 ありがとう! また会おう!! その6へ続く、、
by KeN-ArItA
| 2011-10-01 14:32
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