起立、礼。
中休みのチャイムが校舎を跳ね回る。
ざわめくクラスの中、野口君に見つからないよう肩を縮めてそっと抜け出そうとする僕がいた。
虹の橋を渡った神社にクワガタを捕りに行くのだ。
「ありたぁーー!
ドッチ行くぜ」
見つかってしまった、、。
ドッチとはドッチボールのことで、僕は圧倒的にクワガタの方がよかった。
野口君はクラスのガキ大将的存在。
体格も大きければ喧嘩も強いし、頭もよかった。
小学校の頃、僕はなぜかこの野口君に子分のように従事させられた。
ほんと、ちょっとしたジャイアンとのび太である。
「ありたぁー!
野球するぜ」
「ありたぁー!
Sケンするぜ」
「ありたぁー
ボール持ってこい」
最大の悲劇は、この野口君と6年間ずっと同じクラスだったということだった。
小学4年生だった。
その日も腰巾着である僕は、いつものように帰り道を野口君と共にしていた(させられていた)。
ただ、いつもと違う点はその日がバレンタインデーだと言うこと。
女の子が駆けてきては、野口君にチョコを渡して走ってゆく。
そう、野口君はモテていたのだ。
しばらくすると、また女の子がやってきて照れながら野口君にチョコを渡して去っていった。
いいな。。
僕は初めて、バレンタインデーという日を意識した。
ドキドキと紅潮する笑顔も、照れながらもツンとした態度も、雨の中の銅像のような気持ちも。
やがて野口君と別れて一人の帰り道。
クラスの女の子がひとり、僕の目の前に現れた。
さっきまで野口君の近くで騒いでいた子だ。
僕は冷凍庫のチョコのように固まってしまった。
彼女は体格も大きく(僕が小さかった)、もしケンカになったら負けてしまうかもしれないと思う程に活発な子だった。
そんな普段は元気な彼女が僕を前に、明治の板チョコを両手に持って顔を落とし、ずっともじもじとしている。
その間はずいぶんと長く感じられた。
「もういいや、有田で、、」
そう言って彼女は、はい、と僕にチョコを渡して帰っていった。
嬉しかった。
初めてのチョコはビターチョコ。
【春はそこまで】
現在、『手紙』のミュージックビデオ的なものを作っている(けっこう大変)。
完成したらYou Tubeに上げるからぜひ見てね☆
【朝練終了】
次回、その次も3人編成のライブが続く。
ありけん、リードギターも練習中。
4人編成もよいけど、3人編成はそれよりいいね!って言われるようにがんばる!!
ぜひ応援に来てね☆