福岡のうんと田舎町、小学生の頃だった。
夏休みにも慣れてきた僕らは駄菓子屋の前で地面に座り込み、やることもなくダラダラとしていた。
向かいには消防団の大きな格納庫があって、白塗り塀の上方にツバメの巣があった。
いったいどれだけいるというのだろう、蝉達の出力は打ち寄せる波のよう。
それらは夏をさらに暑く、午後の時間を遅くさせていた。
あのツバメの巣の中に雛はいるのか?いないのか?
誰が言い出したのか、いつの間にか話題はツバメの話になっていた。
巣は見上げる程に高く、親鳥がやってくるわけでもなく、なるほど空き巣のようにも見えた。
僕らは格納庫脇の杉竿を引っ張り出してきて、ツバメの巣を突っついて壊した。
乾いてそうに見えるツバメの巣が、意外にぐにゃりと崩れたのをよく覚えている。
崩れ落ちる巣とともに数羽の雛が、滑らかな放物線を描きながら飛び落ちていった。
僕らは反射的といっていい程同時に四方へ散り、戻ってきた少年達の手の中には、もう少しで巣立ちそうなツバメの雛が小さくうずくまっていた。
悪いことをしてしまった。
僕らは言葉もなく困ってしまった。
持ち帰って育てようとしたが、そんなことができるわけもなく、結局死なせてしまった。
【アブラゼミ、夢見た世界へゆく】
現在自分が住むマンション(西東京)の近所に整骨院がある。
そこに毎年ツバメが巣を作っていのだけど、その家系、歴代巣作りが下手であった。
ある程度雛が大きくなってくると半壊したりしてしまう。
雛も半壊した巣で落ちそうになりながらもなんとか巣立って、巣作りの大切さは痛い程身に染みているはずなのに、やっぱり壊れやすい巣を作ってしまうようだ。
ある年(数年前)、ついに出くわしてしまった。
やはり壊れてしまったのである。
【壊れた巣の真下】
ほら言わんこっちゃない。
巣から落ちた雛程しょぼくれた表情をするものはいない。
拾い上げてみた。
とても小さくて温かく、自分の中のうんと深い引き出しから、懐かしくもほろ苦い記憶が染み出してくるのを感じた。
自然なら、落ちた雛は死ななければならない。
しかし、この町は人も動物も共存する世界。
人が殺してしまうこともあれば、助けることもあってもよいではないかと思った。
【首のっけてるのがかわいい】
小さな空き箱をガムテープで補強し、取り付けた巣に雛を入れた。
最初は警戒していた親鳥もやがて餌を与えるようになり、無事皆で巣立っていった。
この子達はさすがに巣作りには時間をかけるだろう。
【柔らかコスモス、季節は移ろいでいる】
時は今、一昨年前から自分のマンションの1階にもツバメが巣を作るようになった。
餌をねだる声が朝から騒がしいけれど、もしかしたらそれらはいつぞやの雛達の子かもしれない。
この春も、見上げる空に放物線。
この世界はあったかい。
【もうすぐ巣立つね】
昨日撮影。
あんまり見てると親鳥に怒られる。
【白い色を教えてくれる】
夏の花。
今年もムクゲ。
【7/26(金)吉祥寺SHUFFLE】
自主企画イベント『君を夏夜に連れてゆく』、大盛況ありがとう!!
来てくれた方々、新村けんぞう君、森太輔君、サポートメンバー、スタッフ、シャッフルスタッフ、来れなくても応援の念を飛ばしてくれた方々、ありがとう!!
【こちらは6/23代々木ラボ】
きっと、日々成長していると思う(当社比)。
【7/26(金)吉祥寺SHUFFLE】
自分の目標に向かって引き続き頑張ります。
ライブ、ぜひいらしてね☆
live pohto:yayo