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旧ありけん日記


2005年〜2022年5月まで、有田健太郎の日記、エッセイ、フォトギャラリーです
by KeN-ArItA

2014年9月『イリオモテヤマネコを手なずけよの旅』【3】

 東シナから環礁にぶつかっては砕ける遠くの波音。
それに混じって聞こえてくるギターの軽音。
音に歩めば、そこには日に焼けたありけんが朝陽を受けてまどろんでいた。 



2014年9月『イリオモテヤマネコを手なずけよの旅』【3】_e0071652_16163585.jpg
【西表島内陸部にて】




 旅三日目、今日の指令は3つもある。

○引き続きヤマネコの捜索。
○沖縄県唯一の炭坑遺跡『宇多良炭坑跡』を目指せ。
○星砂の浜で噂の星砂を採取しろ。

 宇多良炭坑跡はジャングルの中にあり、一人ではゆかないよう喚起されていた(事前調査)。
夕方には石垣島に戻るため残された時間も考えて練り出された作戦は、宇多良炭坑跡近辺でヤマネコを探すというシンプルかつ完璧なものだった。



2014年9月『イリオモテヤマネコを手なずけよの旅』【3】_e0071652_1615558.jpg
【お気に入りの庭】
9月終わりの西表島は、本土で言う真夏のような寝苦しさ。
エアコンを付けてもぜんぜん利かなかったり、シャワーがちょろちょろだったりとご機嫌なこの宿だったが(自分はわりとこういうノリは好き)、海へとつながる庭はお気に入りとなった。




 朝食後、出発の準備を終わらせ浜辺でギターを弾いていると、昨晩、夕食に遅れてやってきた男(推定28歳)が声をかけてきた。
アバンチュール彼女も紳士なイギリス人もバスで出発してしまったという。

 あー、暇だなぁ、今日は何しようかなぁ。
何も考えてこなかったからなぁ、と言っている彼。

 お前、昨晩、のんびりしに来たと言っていたじゃないか。のんびりしろよ。

 ふとありけんの頭に『炭坑跡には一人では行かないこと』という注意書きがよぎった。
彼もジャングルに連れてゆけば、、ハブ君に噛まれる確率は二分の一に減るではないか。
 なーんて考えたりはしないのである。
やはり彼にはのんびりしてもらうことにして、宿を後にした。



2014年9月『イリオモテヤマネコを手なずけよの旅』【3】_e0071652_638369.jpg
【島の地図(パンフレット抜粋)】
右下の大原港から左上の宿までは1時間30分程はかかる(時速40キロ制限なので)。
道は右回りの一本道で、左回りはジャングル未開の地。




 10:15、浦内川の脇に車を止めて、いざ出発!



2014年9月『イリオモテヤマネコを手なずけよの旅』【3】_e0071652_16161456.jpg
【木漏れ日の道】
道のりは1000m程と記されている。
ヘビ、蜘蛛巣よけの棒を握りしめる。




 悪路を覚悟して来たのだけど、そこそこしっかりした遊歩道じゃないか。



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【川沿いを行く】
気水川を覗き込めば、いるいる、でっかい魚がたくさんいる。




 川沿いとあって常にいろんな生き物の活動音が聞こえてくる。
鳥やセミ、虫はもちろん、カニだったり、ヤドカリだったり、トカゲだったり、、。
カサカサカサ、、落ち葉が常になっている。
こりゃいるな、ヤマネコ。



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【ジャングルっぽくなってきた】
川なのか海なのか、そんな水の中に樹々が散在している。




 日射しが入る場所は、とたんに汗だくになる。
スポーツドリンク1Lもどんどん減って、タオルもヌンチャクみたいに回せるようになってきた。
これは、午前でよかったな。



2014年9月『イリオモテヤマネコを手なずけよの旅』【3】_e0071652_16155414.jpg
【カニの巣?】
道沿いにはこういった何かしら生き物のでっかい穴がたくさんある。




 そしてついに、着いた。



2014年9月『イリオモテヤマネコを手なずけよの旅』【3】_e0071652_16162089.jpg
【宇多良炭坑跡】
宇多良炭坑(うたらたんこう)は、南西諸島の西表島を流れる浦内川支流宇多良川付近において1935年(昭和10年)から1943年頃まで稼働していた日本最南端の炭鉱である。
最盛期は労働者の娯楽のため300名を収容できる集会場が建てられ、芝居の上演や映画の上映が行われていたという。



 これは、すごい。


 今ではとても想像がつかない。
遺跡はジャングルの樹々に飲み込まれつつあった。



2014年9月『イリオモテヤマネコを手なずけよの旅』【3】_e0071652_16161189.jpg




 生命の力強さと時代の流れの無情さをしみじみ感じつつ、ありけんはヤマネコの捜索を始めた。
遊歩道(1キロの間、すれ違った人は1人いた)は遺跡までだけど、それより先に道はない。
しかし、樹々が高く生い茂っている分歩きやすくはある。
ありけんはさらに川沿いの獣道を進むことにした。



2014年9月『イリオモテヤマネコを手なずけよの旅』【3】_e0071652_16161360.jpg
【食器片や空き瓶等も見つけることができる】
ビールの銘柄はキリンビールだった。




 耳を澄ませて、目を凝らし、棒で草を叩きながら進んでゆく。
ムンとした落ち葉にヤマネコのフンなどないかも見ている。
一歩一歩緊張に進んでゆくその時だった。
 
 キャハっ!
 はははーっ!!

 なぜだー。

 浦内川ジャングルクルーズ、カヌー2時間体験コース(4,000円)、通過中。

 お前ら、ジャングルなめてんじゃねーぞ!!
まったく、緊張感台無しじゃないか。
よそでやれよそで(お前が一番ナメている)。
まったく、何がカヌーだ、、(やってみたい)。


 そしてまたしても。
しっ、動くなっ!!



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【緑のトカゲ】
初めて見た。
捕まえようと思ったが、しっぽの先に黒く尖った鉛筆の芯のようなものが付いていて、
なんか、やめておいた。




 さらに進んで、いよいよマングローブに阻まれた場所に来た時だった。

 そこだぁー!!



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2014年9月『イリオモテヤマネコを手なずけよの旅』【3】_e0071652_16153434.jpg




 すみません、やっぱりいませんでした。
写真は、2012年ツチノコの旅、宮崎青島の道路でお腹を出して寝ていたニャンコを起こした時に撮ったやつ。
 猫は犬と違って人類がいなくなっても生きてゆけると言われているが、こいつは絶対無理である。



2014年9月『イリオモテヤマネコを手なずけよの旅』【3】_e0071652_16153736.jpg
【本物のイリオモテヤマネコ】
せっかくなので、お土産で買ったハガキ写真を。
なんて凛々しさ。
こりゃあ、手を差し出したら絶対噛みつかれるパターンだな。
こんなのそうそうおらんよ。




 旅のメインとなる指令1『イリオモテヤマネコを手なずけよ』は、惜しくも達成されなかった。
しかし後日、まさか天然記念物でもあり絶滅危惧書でもある生物と出会うことになるなんて、この時の汗だくありけんは思ってもみなかった。

 とはいえ、指令2『宇多良炭坑跡巡り』は無事達成、生還することができた。
残り3つも期待していてほしい。

3:星砂の浜で星形の砂を発見せよ。
4:旅中一曲(旅の間に一曲作りなさい)
5:ちっこい傘が付いたようなショートカクテルで砂浜トロピカルタイム。



2014年9月『イリオモテヤマネコを手なずけよの旅』【3】_e0071652_16151447.jpg
【西表島、道は全て海沿い】
きれいな白砂浜もある場所にはあるのだけど、全般少々荒っぽい感じ。
川口気水域は、だいたい絡み合ったマングローブである。



 次回は、星砂ビーチと素敵な宿。
ようやく華やかな南国旅らしくなるのか?!
by KeN-ArItA | 2014-10-28 06:53
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