午後になると先ほどまでの雨が止み、高い青空が見えてきた。
関東は久しぶりの晴れ間、これは行くしかないと予定変更。
バタバタと鞄にカメラを入れて部屋の鍵を閉めた。
気づけば9月、南風も気持ちよく感じる。
眩しい空を見上げながら駅に向かった。
【東海道線 湘南新宿ライン】
駅の売店でおつまみを選ぶのに時間がかかってしまい(優柔不断)、入線して来た列車に気づき慌てて店を出たら袋が破けてビールが落ち転がってへこんでしまった。
座席でパコっ、あわあわ大会。
列車が好きな自分。
このまま伊豆にでも行ってしまえ!という気持ちなのだけど、午後も進んでいるので鎌倉の先の方へ向かうことにした。
【平日の午後は空いていてよい】
東海道線のグリーン車は長距離でも安いのでお気に入り。
自分にとって映画館みたいな存在だ。
東海道線下りは左側に座わると決めている。
なぜなら海が見えるからだ。
15時もわりと過ぎた頃、鎌倉に着いた。
江ノ島電鉄に乗り換え、携帯の地図を見ながら海に近い駅を探す。
【江ノ電】
稲村ケ崎で降りた。
どーん、でっかい。
海からの風で、若干潮の飛沫も混じっているがそれでも気持ちいい。
今日は絶対やめてください!というカメラ君をどうにかなだめ、撮ってしまうありけん。
楽しい。
ひと休み。
【砂鉄の浜】
落とした携帯を拾い上げる。
浜が黒っぽく見えるのは多分な砂鉄のせいなのだろう。
砂浜を江ノ島方向に進んでゆくとやがて七里ケ浜。
でっかい防波堤の上に腰を下ろし吹き上げてくる潮風を受けて眺めていた。
懐かしい。
深い緑、盛り立つうねが耐えかね崩れて白い波へと変わってゆく姿は飽きない。
【七里ケ浜】
防波堤にはまばらな観光客が海を眺めては時折降りてゆき、やがて去ってゆく。
もうほとんど見ない海水浴姿の2人の男が、2人連れの女の子に声をかけてはまた別の2人組に。
いつもなら興味深げに見てしまいそうなものだが、久しぶりの海は魅力的である。
最近お気に入りの音楽を波風に混じるくらい大きくして、流れる時間を楽しんだ。
すぐ隣に2人組の女性がいて、いつの間に浜から上がって来たのか先ほどまで浜で頑張っていた中年男2人が海パン姿で声をかけている。
到底上手くいくようには思えないのだけど、それも浜の風景の一部として海が包んでいた。
気づけば17時をまわっていたので、体に付いた砂を払って駅に向かいはじめた。
去り際、名残惜しくもう一度海を見た。
またくるぜ。おおっ、、
先ほど頑張っていた海パン男2人が、自分の隣にいた女性2人と並んでが初々しく砂浜を歩いているではないか。
やっぱ、努力って報われるんだな。
江ノ島に向かって沈みはじめた太陽が、煙る砂浜を淡く照らしている。
そんな中4人は絵画のようだった。
思わず拍手を贈るありけん。
おれも頑張ろうと思った。
ありがとう!
【鎌倉駅のホームから】
短い時間やったけど、駆け込み夏の海。
列車とともによい時間やった。
ありがとう!
さあ、秋に向けてまた頑張る。