「すまん…、東京へはやっぱりおれ達だけで行く」
ライブハウスで出会い、意気投合し、熱く夢を語り合い、たくさんの時間を共にしたボーカルをクビにしたのは、大学を卒業してバンドで上京する直前。
粉雪の舞うスタジオの前だった。
「なんで…」
泣き崩れるあいつを背に、歩き始めた僕も涙が止まらなくなったのを覚えている。
結局、その後すぐに他のメンバーとも別れ、一人で上京することになったわけだが。
あれからいったいどれだけの時間が流れただろう。
「ビックになったら連絡するけん」去り際にそう言い放った僕。
ビックになんないから全然連絡できねーっつーの。
あいつはあれからしばらく音楽活動を続けた後、あの街を去ったと聞いた。
今ではどこで何をやっているのか、生きているのかすら。
このあいだ、当時の曲をずいぶん久しぶりに歌ったんだ。
そしたらその時作ったテーマや感情より、あいつの顔が浮かんできたよ。
叶う夢は一握り 叶わない夢は星の数ほど
あの時は、その星の一つ
出会う人は一握り 出会わない人は幾千万の数
あいつは、一握りの一つ
多分もう会えないだろう
だけど最近は、、もう一度会いたいな
【10/14(土)上野水上音楽堂前の『忍ばずの池』の前にて】
派手に遅刻してしまい、みんなに誤ってまわった後に『忍ばずの池』。
石段に腰を下ろせばほっと一息、コーヒータイムさ。
しかし歴史を感じさせる蓮池だ。
『蜘蛛の糸』の話を思い出したよ。
この後、駆け回る一日がスタートするのであった。
【上野水上音楽堂、リハーサル】
音が回るが、広くて気持ちのいい場所だ。
もちろん本番も、気持ちよくステージを降りることが出来ました。
来てくれたみんな、ありがとうございました!
【帰り道、空を見上げれば、鳥、鳥、鳥】
突然やって来た鳥の大群。
ぴーちくぱーちく、いったい何千本の焼き鳥ができるというのだ。
やがて鳥達は東の空に溶けていった。
なんだか僕も旅に出たくなった。
ほんと、秋やね。