人気ブログランキング | 話題のタグを見る

旧ありけん日記


2005年〜2022年5月まで、有田健太郎の日記、エッセイ、フォトギャラリーです
by KeN-ArItA

きのこの旅〜3日目〜

一面の雪に反射した光が眩しく、ぼくは思わず手をかざした。
しかし旅人は、どんなに眩しくても列車の窓のカーテンを閉めない。
なぜならば風景が見えなくなるからだ。
迷惑である。


さて、きのこの旅3日目。
最大の目的を果たしたありけんは、「海に行く!」と豪語しておきながら、あっさり山に向かっていた。

新潟から会津若松行きの3両編成列車は、雪景色の中。
会津への車窓は水に満ちあふれていた。

川にダム、用水路。
集落のどの家にも小さな水溜(池)が2、3あり、そこで洗いものなどをするのだろう、とにかくきれいだった。


きのこの旅〜3日目〜_e0071652_21561784.jpg



ちょうどお昼あたりに会津若松に着き、駅でラーメンを食べた。
そう、喜多方ラーメン。

僕はよく駅ソバを食べる。
駅ソバは観光地でないかぎり、地元の人達を相手に商売している。
つまりその土地の味付けで、かつ美味しくないとお客は来なくて成り立たないんだ(ありけん調べ)。
だから駅前でやたら高い郷土料理を食べるよりは、駅ソバの方がその土地の味を知れることが多い。
ここは観光地だったけど、ラーメンは美味しいかった。


きのこの旅〜3日目〜_e0071652_22205822.jpg



さて、ここ福島の会津から帰路が2通りあった。
ひとつは郡山方面へ。
もうひとつは只見線で高崎方面へ。

僕は1日3本しか走ってないという『只見線』を選んだ。
理由は、すごそうだから。

6:00   13:08   17:03

時刻表もいたってシンプルである(終点の小出まで行かないやつはもう少しあるよ)。


きのこの旅〜3日目〜_e0071652_22362251.jpg



2両編成の列車は、どんどん山間地へ踏み入ってゆく。
乗客も皆4人席に一人ずつ足を伸ばしている。
この5時間近い只見線を終点まで行く人は、みんな旅人である。
電車が好きな人、旅が好きな人、もっとべつの理由でこの列車に乗り合わせた人もいただろう。
みんな車窓に釘付けだ(笑)。

雪はどんどん深くなり、やがて只見駅に着く頃、積雪はメートル単位になっていた。
3月の初め、街道はまだ冬期不通でその景色は雪国そのもの。


きのこの旅〜3日目〜_e0071652_22542928.jpg

【列車は数十分おきに7分程度の停車をする。
単線のすれ違いを待つわけでもなく、休憩のためかな…。
だけどこの時間がたまらない。
みんな外に出てタバコを吸ったり、写真を撮ったり。
だけど夢中になりすぎるのは注意!
置いてかれたら死ぬしかない(笑)。】



途中、ずっと隣の4人席に座っていた女性と仲良くなった。
一人では自分の写真が撮りにくいので、お願いしたのだ。

彼女は単身赴任の旦那様に会いに行った帰りらしく。
なぜ郡山から川崎に帰るのに、こんなスペシャルな遠回りをしているのか聞くと。
雪を見るのが好きで、この超ローカル線に乗ったと答えた。
切符はもちろん18切符。

しかし、いろんな人がいるもんだ。
(僕は豪雪地帯ということすら知らなかった)

旅は道連れ、しばらくルートも同じなのでご一緒することにした。
僕はチョコを、彼女はかまぼこをくれた。
それぞれの旅やいろんな話は尽きない。


きのこの旅〜3日目〜_e0071652_23213120.jpg
【上条駅。只見線お得意の7分休憩(笑)。
この写真は降りしきる雪の中での、ありけん得意の置き撮り撮影。】



終点の小出(こいで)から、この旅2回目の上越線に乗り換えた時はすっかり夜だった。
越後湯沢駅で新幹線に乗り換えるという彼女とわかれて、ガーラ湯沢駅などスキー場地帯の山間部を跳ねるように猛スピードで進んだ。

おにぎりとパンを買い、高崎線に駆け込んだ時は21時を回っていた。
列車に乗ってちょうど10時間。
10時間を超えると乗り物は辛くなってくるものだ。
疲れも溜まってきてるし。

大宮を過ぎ、車窓はやがて見慣れた都心の夜景に変わってきた。


旅の終わりは寂しいものである。
明日からまたいつもの生活(+ロスした分)や問題がやってくると思うとなおさら。

だけど、今回は全然平気でした。

明日もやってやる!
そう思える帰路でした。


きのこの旅〜3日目〜_e0071652_029923.jpg



いつもは時間に追われ、電車での移動時間も常に何か作業をやっていないと落ち着かない生活です。
それをこの3日間、ただただ車窓をぼ〜っとみて一喜一憂できたこと。
1時間単位の待ち時間も、なんの苦もなくプラプラ過ごせたこと。
贅沢で幸せでした。

また、いろんな人と関われたり、その場その場で好き勝手に動けたことも幸せでした。


旅はきっかけ。
今回は『きのこの旅』。

次回はいつになるか分かりませんが『鳥取砂丘、らくだはニンジンを食べるのか?実証の旅』とか、ふらりまたどこかへ行きたいと思います。


きのこの旅〜3日目〜_e0071652_0131771.jpg




動き出す列車の窓には、僕さ




 <きのこの旅:おしまい>
by KeN-ArItA | 2007-03-11 20:06
<< きのこの旅〜2日目〜 2007 『きのこの旅』〜前夜祭〜 >>


twitter
以前の記事
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
記事ランキング
画像一覧