東京のずっと西の方、多摩地区に来ていた。
関東平野もこのあたりを境に、徐々に山地へと変わってゆく。
山とも丘とも言いようのつかない坂道を下っていた。
連日の秋雨もようやく去り、午後からは高い空に西から東へと流れてゆく雲の合間から、クリアな太陽が時々影を濃くしていた。
薄い堆積雲とぶつ切りの雨雲は次第に面積を減らし、夕方前の坂道はいくらでも歩いてゆける心地よさだった。
住宅地と林や空き地が適度に混ざり合った坂道は、虫の音が澄んでいた。
深い赤い実をつけたハナミズキ、香りで居場所を教えたキンモクセイ。
秋の花は、色や大きさに関わらずどこか主張を控えていて好きだ。
【香りに誘われて、キンモクセイ】
冷たい缶コーヒーを手に、空き地の石段で一休み。
…パチン
寒くなってきて動きが鈍くなったとはいえ、蚊は最後まであきらめない。
さっきから涼しく落ち着いているのは、コオロギの鳴き声だろう。
夏のがむしゃらさではなく賛歌のような落ち着きを感じるのは、季節のせいだろうか、僕のせいだろうか、それともコオロギ君の哀愁のせいだろうか。
ひたすら続いた下り坂がようやく終わると、川沿の遊歩道。
少しばかり釣り人の様子を見ていた。
まだ若い夕陽に照らされた羽虫達が、軟らかい黄金色で揺れていた。
駅まであと少し。
今日は秋の中。
【続く細道の先は、きっと世界】
栃木のある庭園、木壁の迷路の出口にて。
最近、久しぶりに合奏した。
近日、下北沢で行なわれるライブのリハだったのだが、楽しくて。
人と合わせる感覚も戻ってきた。
その後も録音した演奏に合わせて、何度も何度も一人で音を重ねて練習してしまった。
クリエイティブで、時に飛び道具的なちえさん(The Orange Carnivals )のベースと、実はまだ掴みかねていないフジッ子さん(レッサーパンダ、ロボレオ)のカホーン。
ライブが楽しみなんだ。
12月に、所属するレーベルのイベントがある。
そのときに発売する合同制作ソングを仕上げるために、レーベルメイトのどぺさん(ラヴスナイパー)、けんぞう君(LIBB!HOLLYWOOD)と共に集まった。
3アーティストがそれぞれAメロ、Bメロ、Cメロを個別に作成して、それを有田宅でドンとつなげるのだ。
自分はCメロ(サビ部分)の担当で責任を感じてしまったのだが、ある意味やりやすかった。(A、B、Cは、あみだくじで決めた(笑))
多少の直しはあったものの、尊敬する2人は大したもので、あらかじめ決めておいたテーマやキーやテンポとともに、2時間で仕上げて、1時間でまとめた。
共作する作業とセッションは、楽しかった。
まだ歌詞を付けていない2人が焦って歌詞を書いている姿は、おかしくて。
休み時間に次の授業の宿題をバタバタやっている高校生を連想し、笑ってしまった。
それでもよいものを仕上げる2人は、やはりすごい。
自分に無いコード感や歌詞感を目の当たりにできて、よい時間だったし、なにより楽しかった。(レコーディングがあるので、実は今からが大変)
【秋にゃんこ、こんにちは。】
秋はまだまだ行くよね。
これから寒くなるねぇ。
頑張ろうね。