ありけん日記 |
ドアに寄りかかっている僕は、東へ進む通勤電車の中。
南西の空の低いところで月が消滅しかかっている。 キラリと光る太陽があと少し上れば、月はまた次の国で見られたり見られなかったりするだろう。 しかし晴れてるなー。 停車した駅。 窓のすぐそこに柿の実が熟れている。 多分、シブガキ。 柿は、市販されてるやつのようにさくさくと食べれるやつもあれば、食べると口がムチュ〜とタコチュウのようになるやつ(シブガキ)もある。 子供の頃よく木に登り、柿をとって食べてはタコチュウになったものだ。 そこらへんに生えている柿で、生で食べれる柿は少ないんだ。 この柿は? ちょっと挑戦する気になれないなぁ。 柿といえば思い出す人物がいる。 小学生の頃、よく遊んだ「つよし」だ。 近所に住む4つ下のつよしとは相性がよかったのだろう、年が離れているにも関わらず毎日のように遊んだ。 福岡の片田舎に住む僕らの遊び場は、主に山や川。 ある時、山の開けた場所で「かくれんぼ」をしていたんだ。 だけど、つよしだけがなかなか出てこない。 探すのに飽きた僕は、そこらへんに落ちていた青い柿を林に向かって「ていっ」と投げた。 たった一個だよ。 「いでっっ!」 命中するのである。 頭を押さえて泣いているつよしの側に、割れた青い柿が落ちていた。 つよしはまるで「のび太」みたいなやつなんだ。 ![]() 初冬の高麗に人影はない。ここは開けた山間。 子供の頃よく遊んだ裏山を思い出させるんだ。 いつだったか、「缶けり(かくれんぼのレベルを上げたような遊び)」をやっていた時。 やっぱりつよしだけが見つからないんだ。 当時、缶けりのプロ(自称)とまで言われていた僕は、どんなところに隠れたやつでも見つけることができた。 そんなプロ。 鬼役としてのプライドをかけて、つよしの発見に全力で走りまわった。 しかし見つからないんだ。 やがて探すのに飽きた僕らは家に帰った。 しかしその夜、つよしが帰ってこないと近所中大騒ぎになった。 僕は少年ながら、責任を感じていた。 近所中必死の捜索の末、やつは自宅の犬小屋から発見された。 犬とともに熟睡していたらしい。 缶けりのプロ、ありけん少年。完敗の一日であった。 ![]() 今日は水かさが少ない。 ぴょんぴょん石を跳び越えて向こう岸に渡れたよ。 水中にも水面にも、落ち葉。 想い出はどんどん溢れてくるよ。 こんなこともあった。 学校の帰り道、つよしは「目をつむって歩く」という意味不明の特訓をしていた。 見てて面白くなった僕は「よし!おれが右左と言っちゃーけん、そのまま歩きー」 とナビを始めたんだ。 普通、人は目をつむると恐る恐る歩くものである。 しかしつよしは嬉しそうにずんずん歩いてゆく。 「もうちょい右!ダメダメ左!そうそう真っすぐ」 全く恐れずにずんずん歩いてゆくその姿を見て、僕は思ったんだ。 (こいつ、絶対に薄目してんな〜。) やがて、小川の橋が見えてきた。 小さな川の小さな橋に柵なんてない。 (フフフ…よし) ずんずんずんずん そして橋の上にきた時、僕は最後のナビとなる一言を発する。 「そこで左!」 ぼっちゃーん★ つよしは、目をつむったまま嬉しそうに90度曲がって。 「ストップストップ!」 あわてる僕の声も間に合わず、のび太みたいに川に落ちてしまったんだ。 僕を信じてたんだね。 泣いているつよしを引っ張り上げて謝ったよ。 ![]() 固そ〜。いずれにせよ食べると口がタコチュウになること間違いなし。 僕が高校2年になった頃、つよし家は引っ越していった。 2、3時間程の距離なので一度遊びに行ったが、それ以来。 場所も覚えてないよ。 入学したばかりのブカブカの制服を着て、照れ笑いしている。 僕の中のつよしはそこでストップ。 ちっとも大きくなってない。 今頃、どこで何しているかね。 立派な大人になって、しっかりと働いているだろう(たぶん)。 もし、このままずーっと会えなくても。 つよしは、また僕の中で生き返るだろう。 今日みたいにね。 どこかの町、初冬のバス停。 白い息を吐いてバスを待っているつよしの頭上にも、熟れた柿がぶら下がってるかもね。 べちっ! 「うげっ」 あいつの頭を直撃したりしてるかも。 ![]() ありがとう 君と出会えてよかった #
by KeN-ArItA
| 2005-11-26 22:59
連日の忙しさも一段落したよ。
ふぅ 気がつけば東京は冬。 枯れ葉が舞うレンガ道は、寒いけれど暖かい色よね。 木枯らしの帰り道、僕はマフラーをぐるぐる巻いた。 今日はラーメンを作ったんだけど、面白いものを入れたんだ。 ハンペン。 続き… #
by KeN-ArItA
| 2005-11-19 23:01
リハーサルを終え、駅を出て帰り道。
今日は久しぶりにBコース(川沿いを通る、まあまあ遠回りのコース)で帰った。 駐輪場をぬけて民家の角を曲がると、西陽に照らされて金色に静まりかえっている大きな木々が目に飛び込んできた。 はあ〜 紅葉もここまで降りてきとうっちゃね。 またその木々の色が暖かいと。 シンと時が止まっとうみたいで、しばらく立ち止まってしまったよ。 続き… #
by KeN-ArItA
| 2005-11-04 19:32
「全ては笑うために」
生きている幸せと 生きてゆくための辛さ 生きているはかなさと 生きていて出会うやさしさ 全部かき混ぜた満天の空の下 僕らは生きている 全ては笑うために だから今 泣いているんでしょう? だれだって一人さ それは当たり前のこと それを乗り越えて話してごらん 未来にもきっと「素晴らしい」と言える時間があるはず だからほら ゆきましょう この満天の空の下を ![]() #
by KeN-ArItA
| 2005-10-29 23:40
今日もまた、雨やった。
天気予報は外れ。 予期せず降り出した雨の中、タオルを頭にかぶせて歩いたよ。 今日は、雨には打たれたくない気分やったけんね。 <秋雨前線>:おうおうおー!! <ありけん>:今日の天気予報は曇りって… <秋雨前線>:適当なこと言ってんじゃねー。森田ァ〜(気象予報士の森田さん)。 <ありけん>:まあまあまあ。明日は晴れなんでしょう? <秋雨前線>:あーめーじゃ〜 <ありけん>:そこをなんとか!! <秋雨前線>:大雨じゃ〜〜 ということで明日も雨みたい。 みんなごめん。 続き… #
by KeN-ArItA
| 2005-10-22 21:19
う〜
風邪をひいてしまった…。 風邪はいかんね。 たくさんの人に迷惑をかけてしまう。 これから秋冬は「うがいセット」(イソジンガ−グルとステンレスのコップ)を携帯します。 頑張ります! しかし今年の秋雨は長いね。 秋晴れはさぞかし素敵やろう。 人生は確実に、めんどくさい事や辛いことで溢れている。 だけど未来にもきっと「素晴らしい」と言える時間があるはず。 頑張ろう! ありけんはみんなを応援します。 #
by KeN-ArItA
| 2005-10-16 17:30
今日は久しぶりにゆっくりとした午後。
すぐ近所に流れる黒目川へ散歩に出かけたよ。 東京の天気は、曇り時々雨。 予報そのままの天気だ。 ひんやりと、しっとりと心地いい。 露の乗った草花も気持ちよさそう。 ![]() 僕もよくここで休憩する。春には藤の花でいっぱいになるんだ。 川端には、知らない秋の花がぽつりぽつりと咲いている。 春や夏の花と違って勢いはないけど、ゆっくりと佇んでいていい。 3、4mはありそうなアシや、まだ開いたばかりのすすきも、秋を教えてくれる。 ![]() 数珠の実。 子供の頃、ポッケいっぱいに詰め込んで投げ合いしたものだ。 妹は、ばあちゃんにお手玉を作ってもらってたなぁ。 こんな都会にもあるっちゃね。 歩道には 買い物帰りのおばちゃん 鯉に餌をあげてるおじいと孫 ランニングのおやっさん カメラを持った僕 散歩の犬と少年 ガランガランガラン… 鉄橋を駆けてく電車の音 平和な町だ。 心底、ずっと続けばいいと思う。 ![]() 人がやっとすれちがえる小さな橋を渡り、反対の遊歩道で帰路につく。 帰りにコーヒーの詰め替えを買ってかえるんだ。 #
by KeN-ArItA
| 2005-10-09 17:22
しばらく砂山で立ちつくした後、海岸を東へと歩いた。
ずっと向こうに見える、杭が立ち並ぶ場所が気になったんだ。 ![]() ここ玄海灘の砂丘は、いつも形を変える。】 途中、砂山の窪みで休憩。 お茶を買ってきといてよかったよ。 ![]() 久しぶりに会った友人から貰ったんだ。 彼は、アクセサリーの製作職人を兼ねて働いている。 現在、自分のブランドを立ち上げるため日々奮闘中だ。 頑張れ!】 日本海に面するこの砂浜には、たくさんの漂流物が流れ着いている。 いったいどこから、どのくらい漂流したんだろう。 フジツボの付いたビン。 ハングル文字や英字で記されたポリ容器。 貝や海草が生えた流木。 もし彼らと会話ができるのなら、旅の話を聞かせてもらいたいなぁ。 ビンの中に手紙とか入っとらんかねー(古)。 探したがそんなビンはなかった。 代わりに小さなアンモナイトの殻を見つけた(生きているやつは、殻の中にイカが入っている。 うそです)。 この海にはアンモナイトや、カブトガニがたくさんいるんだ。 空は、曇りと晴れの間くらいかね。 時折光線のような光が落ちてきたり、深く曇ったりした。 フラフラフラフラ あっち寄りこっち寄り 立ち並ぶ杭の所に着いたのは、16時近かった。 ![]() 引き潮の波は、引っ張られていくようで好きだ。 じゃこじゃこと掘った穴が、少しずつ平らになってゆく。 僕は海に行くと必ず浜を掘ってしまう。 貝とか出てきたら嬉しくない? ザザー ザザー ここは遠浅やけん、もう少し沖へ行けるよ ![]() 海の中より西を見る 落ちてくる光線を追えども そのまた先に光りあり 足跡は?と振り返れば 銀色の波 行く先は?とまた先を見れば 金色の波 ていっ! 蹴りあげた水しぶきは 晩夏の空に舞う 数分後、僕のジーンズはびちょびちょになるのである。 #
by KeN-ArItA
| 2005-10-01 21:46
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